約 3,520,757 件
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/108.html
ペリナルの歌 第1巻:その名について [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] 彼の名前「ペリナル」はまことに驚くべきであり、奇妙である。多くの異名は後についたものにすぎない。それはエルフの名であるが、ペリナルはエルフに災いをもたらすものであり、その名はエルフにとって皮肉というよりも残酷であった。若い時分から、ペリナルは白髪をたなびかせ暴れまわった。敵であるエルフたちが彼らの言葉で彼をペリナルと呼んだのだろうか、しかし、その名がエルフの言葉で「栄光の騎士」を表していて、もちろん彼がそのような存在ではなかったことを考えると、そうとは考えにくい。彼がタムリエルにいた頃、他のものたちは多くの異名をペリナルの名に加えて呼んだ。彼は、光り輝く左手で敵を討つペリナル・ホワイトストレークであり、血(を飲ん)で勝利を祝うペリナル・ブラッディであり、聖戦士たちを立ち上がらせたペリナル・インサージェントであり、兵士がその旗印を見て八大神に感謝を捧げる、勝利の化身ペリナル・トライアンフであり、彼の剣一本に頼る戦略について来られない味方を叱責するペリナル・ブレイマーであった。また彼はペリナル・サードとも呼ばれたが、これについては彼が三度よみがえった神の化身であるからとも、彼が反乱に加わる以前、聖アレッシアとも呼ばれるペリフが自由への祈りの中で見た3番目の幻影が彼の姿だったためともいわれている。 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第2巻:その訪れ [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] (そして)ペリフは天を仰ぎ、神々の使いに語りかけた。天はエルフが地上を支配し始めたから、その慈悲を失っているように見えた。ペリフは、命に限りある人間であった。彼女の同胞である人間の、弱さの中の強さや謙虚は神々の深く愛するところであり、人間が、最後にある死を知りながら命を燃やす姿は神々の憐れみを誘っていた(向こう見ずに魂を燃やす者たちが竜の一族に好かれるのと同じ理由である)。そして、彼女は神々の使いに語りかけた:「そして、私はこの思いに名前をつけ、それを自由と呼びました。失われし者シェザールの、別の名前だと思います…… (あなたは)彼が失われたとき、最初の雨を降らせました。(そして)私は今、彼に起こったのと同じことが邪な支配者たちに起こるよう願います。彼らを打ち破り、彼らのした残虐な仕打ちの代償を支払わせ、トーパルの地へ追いやり(たいのです)。あなたの息子、あの強く、荒ぶる、猛牛の角と翼を持つあのモーリアウスをもう一度地上につかわし、私たちの怒りを晴らさせてください」…… (そしてその時)カイネはペリフに新しい印を与えた。それはエルフの血で赤く染まったダイヤモンドで、その面は(なくなり、形を変え)一人の男となってペリフの縛めを取り払った。その男は「星の騎士」(を意味する)ペリナルと名乗り、(そして彼は)(未来の)武具を身に付けていた。そして彼はシロドの密林へと分け入り、そこにいるものを殺した。モーリアウスはペリナルの出現に喜び、地上に降りてペリナルに寄り添った。(それからペリナルは)ペリフの率いる反乱軍の陣地に戻り、自分の剣とメイスに刺さったエルフのはらわた、首、羽、アイレイドーンの印である魔玉などを見せた。血で固まったそれらを掲げたペリナルは言った「エルフの東の長だったものだが、こうなっては名乗ることもできまい」と。 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第3巻:その敵 [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] ペリナル・ホワイトストレークは当時のシロドに住む全てのエルフの敵であった。しかし、彼はアイレイドの妖術師の王たちを、戦争ではなく、主に彼自身が決闘をして倒していた。反乱はパラヴォニアの軍隊と彼が甥と呼んだ雄牛モーリアウスに任せていた。ペリナルは銅と茶のハロミアをトールでの決闘に呼び出し、彼の頚動脈を噛み切ってレマンを称える雄たけびを上げた。レマンという名は、当時誰にも知られていなかった。シェイパーのゴルドハウアーの首は山羊の顔を模したニネンダーヴァの祭壇に落とされ、ウェルキンドの魔力によって悪が蘇らないよう、ペリナルは賢明にも呪文によって彼らを封印した。その同じ季節のうちに、ペリナルはセヤ・タールの御影石の階段でハドフールを倒した。火の玉の槍兵が初めて破られた戦いであった。その当時、アイレイドの武器でペリナルの防具を貫けるものは何一つ無かった。ペリナルはその防具が人間の作ったものでないことは認めても、それ以上のことはどんなに請われても語らなかった。ペリナルが初めて憤怒に我を忘れたのは、彼が農奴から重装歩兵にまで育てあげ、非常にかわいがっていたフーナが、シンガーのセレスレルのくちばしから作られた矢じりで殺されたときであった。彼はナルレミーからセレディールまで全てのものを破壊しながら進み、これらの土地をエルフと人間の地図の上から消してしまった。ペリフは神々にいけにえを捧げ、この行いに怒って地上を去らないよう祈らなければならなかった。そして、その後、白金の強襲が起こった。アイレイドたちがメリディアのオーロランたちと協定を結んで彼らを呼び出し、金色の半エルフ、羽を失いしウマリルを彼らの味方の闘士にしたのである。そして、地上に現れて初めて、ペリナルは決闘に呼び出される側になった。アダの血をひくウマリルは不死身であり、恐れを知らなかった。 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第4巻:その功績 [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] (ペリナルは)妖術師の軍隊をニベンより追い払い、東の土地全てをパラヴァニアの反乱軍のものにした。カイネは人間たちがそこで進軍のための陣をはれるよう、雨を降らせて村やアイレイドの旗が降ろされた砦から血を洗い流さなければならなかった。(それから)ペリナルはヴァータシェの扉を壊し囚人たちを解き放った。このとき、モーリアウスに乗った奴隷の女王が頭上を飛び、人間たちは彼女を初めてアレ=シュと呼んだ。彼はまた…… の門を抜け、その夜アイレイドに盗まれたセドール(今では誰も知らないが、当時は名高い部族であった)の千の精鋭の手を取り戻した。二千の手を魔族の骨で作られた荷車に載せると、荷車は女の悲痛な叫びのような音をたててきしんだ。 ……(文章欠落)…… クリーズ族の北方における勢力を強化した最初の大虐殺(の後)、彼は白い髪をエルフの血で茶色く染めてヘルドン橋に立ち、ペリフの鷹匠に導かれてきたノルドたちはその姿を見てショールの再来と恐れおののいたが、ペリナルはその名前を冒涜するかわりに彼らの足元に唾を吐きかけた。それでもとにかくペリナルは彼らを率いて西の大陸へ進み、アイレイド達を白金の塔の方角へと追い詰めていった。アイレイド達は突然自由になった人間たちの勢いと、この激しさがどこからもたらされたものなのかを理解できぬまま後退を余儀なくされていた。ペリナルは、ウマリルが反逆者の進軍を止めようと放つサンダーナックをメイスで砕き、「カイネの息吹」モーリアウスがくちばしの矢の一斉射撃で傷ついたときは、彼を賢しきツアサス(ケプチュの名を持つガネード)のもとまで運び治療させた。スキフ評議会において、パラヴァニアの兵士やノルドたちが白金の強襲に怯え、アレ=シュすらも決闘の延期を勧める中、ペリナルは激高し、考えなしに突き動かされてウマリルを罵り、まわりの臆病者たちを罵り、自力で白金の塔へ赴いた。 ダンジョン 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第5巻:モールリアスへの愛情 [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] モールリアスがカイネの息子であることは厳然たる事実である。しかし、ペリナルがシェザリンであるかどうかについては語らないほうがいいだろう(あるとき、ダガー使いのプロンチヌがそれを言って、その夜蛾を喉につまらせて死んだ)。しかし、モールリアスとペリナルが互いを家族と呼び合ったことはよく知られている。モールリアスが弟分であり、ペリナルは彼を甥と呼んでかわいがった。しかし、これらは単に神々に近い不死身の彼らの気まぐれな遊びだったのかもしれない。ペリナルは、戦いに関してはモールリアスに助言などしなかった。この半牛人は素晴らしい戦いぶりを見せていたし、兵をうまく導き、憤怒に身を任せることもなかったからだ。しかしペリナルは、モールリアスがペリフに対して募らせていた愛にだけは警告を与えた。「モール、俺たちはアダだ。愛によって何かを変えなくてはならない。さらなる怪物をこの地上に生み落とさないように気をつけろ。お前が思いとどまらなければ、彼女はお前を愛するようになり、お前のせいでシロドはその姿を変えてしまうぞ」これを聞いたモールリアスは彼の雄牛のような姿を恥じ、彼がパラヴァニアにとって醜すぎるのではないかといつも思い悩んでいた。ペリフが彼の服を脱ぐのを手伝ってくれるときなどは特にそうだった。ある夜、彼は小月神の月の光に鼻輪を光らせ、鼻を鳴らして言った。「彼女はまるでこの鼻輪の光のようだ。ときどき気まぐれに光り輝くが、夜にこうして頭を動かせばいつでもそこに見ることができる。そして、俺は決して手に入れられないものを知るのだ」 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第6巻:その憤怒 [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] [そして]彼はパドメイのように、シシスによってこの世界に生まれ、この世を変える力を与えられていたと言われる。ニューテードのフィフドのように、あるものは、ペリナルの星の防具に隠された胸はぽっかりと開いてその中に心臓はなく、ダイヤモンドの形をした赤い憤怒が粗暴なドラゴンのように吼えているだけだという。これは、彼が神話の再現者であることの証であるという。彼が歩を進めたところは思い通りに形作られたともいわれる。ペリナル自身はこれらの言説を気にかけず、神の論理を唱える者は全て殺した。しかし、美しきペリフだけは例外であった。ペリナルは彼女について「話すより前に行動する。実行を伴わない言葉は死んだ目撃者のようなものだ」と言った。兵士たちが彼がそう言い放ったのを聞いて呆然としているうちに、彼は笑って剣を抜き、カイネの雨の中へ飛び出して行った。そして彼は捕虜のアイレイドたちを虐殺し、「おお、神よ、これが俺たちの憤怒だ! お前たちを見る俺を見ているお前たちが見えるぞ! 俺たちが作ったウマリルは、俺たちを呼び覚ました!」と叫んだ。[そして、そういった]怒りに任せた気まぐれを行うとき、ペリナルは憤怒に我を忘れるのだった。そうなったとき、彼が通った後の土地は神の力を持つ彼の狂暴によって全て滅ぼされ、憤怒の後の虚無がやってくるまでその状態は続くのだった。アレッシアは神々に祈り助けを求めねばならず、神々は心を一つにして救いの手を差し伸べ、ペリナルに殺しの願望を忘れさせ、地上のもの全てを破壊することをやめさせた。ギー族のガリドはかつて、そうしたペリナルの憤怒を遠くから目の当たりにしたが、その後、ペリナルが落ち着いたころにともに酒を飲む機会を得、憤怒に身を任せているあいだはどんな気分なのかと尋ねた。ペリナルは簡潔に答えて言った、「見るもののいない夢のようなものだ」と。 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第7巻:ウマリルとの戦い、そして切断 [編者注:この断章はカヌラス湖のアレッシア会の修道院遺跡から発見されたもので、正義戦争(第一紀2321年)以前に書かれたものであると思われる。さらに、文体を分析するとこの断章はペリナルの歌の初期、6世紀中ごろの形式を伝えていることがわかる。] [そして]ウマリルの軍勢[との数々の戦いの末]オーロランの死体が玉座を取り巻くろうそくのように横たわり、ペリナルはアイレイド最後の妖術師の王たちと、重厚なヴェーリアンスで武装した彼らの魔族たちに取り囲まれていた。ペリナルが彼のメイスで床を突くと、その音に敵はひるんだ。彼は「俺を呼び出したウマリルをつれてこい!」と言った…… [しかし]一方、力強さをたたえた顔つきの、邪悪で不死身の金色のウマリルは、接近戦よりも遠いところからの狙い撃ちが好きだったので、白金の塔の陰に長くとどまっていた。さらに多くの兵士たちがペリナルのもとへ送り込まれては死んでいった。彼らはウマリルが[最初の戦いの時から]ため込んでいた長いヴァーリアンスで強化した斧や矢でペリナルの防具を貫くのがやっとだった。[やがて]このハーフエルフは[メリディアの光に包まれて]姿を現し…… 彼のアイレイドーンの血筋を語り、その父、[前のカルパの]世界河の神について語った。そして、ついに流血し荒い息をつくペリナルを見て喜んだ…… [文章欠落]…… [そして]今やウマリルは地に倒れ、その兜についた天使の顔はへこんで醜く歪んだ。ペリナルはそれを見て笑った。。ウマリルの羽のない翼は[いらだつ]ペリナルの剣によって切り落とされた…… ペリナルはウマリルの祖先を侮辱し、全ての古アールノフィから渡ってきた者たちを罵った。[このことを聞いて]エルフの王たちは怒り、憤怒に我を忘れた…… [そして彼らは]ペリナルに襲いかかり、彼らの[頼りの]武器をふるい…… ペリナルの体を八つ裂きにした。混乱し雄たけびをあげる[ペリナルの声は]スキフ評議会にすら[聞こえた]…… [文章欠落] …は[次の朝]モーリアウスが角で塔全体を揺らしている時に逃げた。あるものは大量虐殺のさなか興奮状態にあり、人間たちは全てのアイレイドを殺そうと待ちかまえていたが、逃げ出した王たちや魔族たちを救おうとするものは全てペリナルに殺された後だった…… 王たちが彼らのやったことを証明するために残しておいたペリナルの頭部はモーリアウスが見つけた。彼らは会話を交わし、ペリナルは後悔を口にした…… しかし、反乱軍の者たちはすでに引き返しており、これを聞く者は誰もいなかった…… そして、不死身の彼らは[その後もさらに]話しこんだが、パラヴァントでさえもそれを聞こうとはしなかっただろう。 歴史・伝記 赤1 ペリナルの歌 第8巻:啓示とアレ=エシュの死 [編者注:この断章は現存するペリナルに関しての文書で最も古く、最も断片的なものである。しかしながら、その発生時期に実際に歌われ伝えられていたペリナルの歌に最も近いと思われ、短さに反してその価値は高い。奇妙なことに、アレッシアの死に際にペリナルがいたと読める箇所があり、それ以前(アレッシアの死より何年も前)にウマリルに殺されていたという他の文書の記述と矛盾する。一部の研究者は、この断章がペリナルの歌の一部ではないとしているが、多くの研究者はこの断章が本物であると信じており、議論が存在する。] 「…… そして、私の半身とともに力を集めさせたのだ、その半身はその死すべきものの観念に光を与えた。それは[神々の]喜び、それは自由、天にもその本当の意味は知られていない[だからこそ]父なる…… [文章欠落]…… 協定より以前、最初の[日々?精霊?渦巻き?]……の中でこの世の憤怒を模して。[我々は]今あなたをつれてゆく。我々の本当の顔を[見せて]やろう…… [それらは]時がくるたびに失われた記憶の中で互いに食らい合う」 歴史・伝記 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/129.html
異端の発想 狂信はシヴァリング・アイルズから一掃されるべき忌まわしきもである。たとえもう1つの魂にであろうと奴らの教義が広まるのに耐えられなぬ。奴らは信念に欠けているという理由で我々を異端者と呼ぶのだ。だが我々はその名を快く受け入れよう、そして名誉に値するものを作り上げるのだ。 真実を述べるのは異端にあらず。不当な支配者を非難することは異端にあらず。真の信条を守るため武力を持ち行動することは異端にあらず。我々はシヴァリング・アイルズではいわゆる異端者だが、異説など述べてはおらぬ。真実を述べているのである。 我らが君主、シェオゴラスは、単なる人間にすぎぬ。奴は唯一、肉と血を持っているが、神などではなく、もちろんデイドラの王子たちでもない。デイドラの王国には王子などおらず、唯一我々の命令で召喚するハンガーのような卑しき従者がいるだけだ。 あの偽のシェオゴラスは狂った暴君なのである。何年にもわたって卑劣な魔法に手を染め、デイドラと同調することで狂っていった。奴はもちろん聖職者でもなく、支配者にもふさわしくなし。アーデン=スルの教えを歪め、アーデン=スルの心臓の血を与えられた者なのだ。 我々の主張である真実が人々の間で周知の事実となれば、ニュー・シェオスから奴を追いやり、剣で汚水溜めへと放り込んでくれる。奴の四肢を四方八方へと散乱させるのだ。頭部は自殺の丘へ捨て置き、心臓は自由の炎で焼きつくす。内臓は犬のエサとして与えくれてやる。 我々はシヴァリング・アイルズの全ての人々に異端者のローブを着せるつもりだ。これらのローブにより、我々はお互いが真の無信奉者であると通じ合えるのだ。人々は我々のように未開の荒野へと戻り、自然のままに生きるがよい。奴らは我々の導く人生における清らかさと知恵がいまにわかるだろうそして救世主として歓迎するのだ。 SI デイドラの神像関連 神話・宗教 茶2
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/261.html
ネレヴァルの月と星 [これはアシュランドの伝説に関する帝都の様々な学者たちによる一連の研究論文から数篇を集めたもののようである。] 遥か昔、ドワーフたち、および西方からの外来者の大群がダークエルフの土地を奪いに押し寄せた。その頃のネレヴァルは偉大なるカーンであり、家人一同を統率する武将でもあったが、太古の精霊たちと一族の掟に従い、我々の一員となった。 よって、ネレヴァルがその貴重な祖先の指輪、月星の下の一族をもって、精霊たちの法を守り大地の戒律を尊ぶと誓いを立てた時、全ての部族が家人たちのもとに集い、赤き山にて大いなる戦いが繰り広げられた。 多くのダークエルフ、一族の者および家人が赤き山で命を落としたものの、ドワーフたちは倒されてその邪悪な魔術は一掃され、外来者たちはかの地から追いやられた。だがこの偉大なる勝利の後、権力欲に目の眩んだ諸大家のカーンたちが秘密裏にネレヴァルを暗殺し、自らを神として崇めさせ、各部族に対するネレヴァルの約束をないがしろにしたのだった。 しかし、いつの日かネレヴァルがその指輪と共に戻り、偽りの神々を倒し、指輪の力によって精霊たちを尊び外来者をかの地から追いやるという各部族との約束を全うするであろうと言われている。 神話・宗教 紫1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/273.html
虫の兄弟姉妹たちよ! 我々が直面している試練に落胆することはない。我らの時代はすぐにも訪れるのだから。 虫の神は我々の教団を見守っており、最後の審判の日に我々を苦しみの時代から救い出してくれる。その時が来るまで神が与えし務めを密かに果たし、神の求めに従い、空に目を向けて神の印を探し続けるのだ。 死霊術師の月である幽鬼が我々を見守っている。神性へと昇華した彼の形態は、それがあるべき場所である空に収まり、我々が神に仕えられるよう、敵であるアーケイを我々の目から隠してくれている。印を期待して待て。神々しい光が空から降りてくる時、神の祭壇へと駆けつけ、捧げ物をするのだ。そうすれば神はその真の力の一端を見せてお前を祝福してくれるだろう。神に捧げられた極大魂石は黒ずみ、無意識な魂をわなで捕らえる際に使われるだろう。偉大なるガスタでさえその偉業に驚嘆するに違いない。 黒虫の教団に忠実であれ。お前の忠誠はやがて報いられるだろう。いずれ時が来れば神は世界を正しい状態にするために戻ってきて、邪魔だてをする者たちは、かつて刃向かった者たちがそうなったのと同じように、その手にかかり永遠に苦しむことになるだろう。 その日が来るまで、辛抱強く信じ続けるのだ。洞窟の中に、廃墟の要塞に、あるいは秘密の隠れ家に身を潜めて。子分を育て、召使いを召喚し、呪文をかけるのだ。求められた時には教団の招集に応じるがいい。目を凝らし、耳を澄ませ。 神話・宗教 緑3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/105.html
ペリナルの歌 第7巻:ウマリルとの戦い、そして切断 [編者注:この断章はカヌラス湖のアレッシア会の修道院遺跡から発見されたもので、正義戦争(第一紀2321年)以前に書かれたものであると思われる。さらに、文体を分析するとこの断章はペリナルの歌の初期、6世紀中ごろの形式を伝えていることがわかる。] [そして]ウマリルの軍勢[との数々の戦いの末]オーロランの死体が玉座を取り巻くろうそくのように横たわり、ペリナルはアイレイド最後の妖術師の王たちと、重厚なヴェーリアンスで武装した彼らの魔族たちに取り囲まれていた。ペリナルが彼のメイスで床を突くと、その音に敵はひるんだ。彼は「俺を呼び出したウマリルをつれてこい!」と言った…… [しかし]一方、力強さをたたえた顔つきの、邪悪で不死身の金色のウマリルは、接近戦よりも遠いところからの狙い撃ちが好きだったので、白金の塔の陰に長くとどまっていた。さらに多くの兵士たちがペリナルのもとへ送り込まれては死んでいった。彼らはウマリルが[最初の戦いの時から]ため込んでいた長いヴァーリアンスで強化した斧や矢でペリナルの防具を貫くのがやっとだった。[やがて]このハーフエルフは[メリディアの光に包まれて]姿を現し…… 彼のアイレイドーンの血筋を語り、その父、[前のカルパの]世界河の神について語った。そして、ついに流血し荒い息をつくペリナルを見て喜んだ…… [文章欠落]…… [そして]今やウマリルは地に倒れ、その兜についた天使の顔はへこんで醜く歪んだ。ペリナルはそれを見て笑った。。ウマリルの羽のない翼は[いらだつ]ペリナルの剣によって切り落とされた…… ペリナルはウマリルの祖先を侮辱し、全ての古アールノフィから渡ってきた者たちを罵った。[このことを聞いて]エルフの王たちは怒り、憤怒に我を忘れた…… [そして彼らは]ペリナルに襲いかかり、彼らの[頼りの]武器をふるい…… ペリナルの体を八つ裂きにした。混乱し雄たけびをあげる[ペリナルの声は]スキフ評議会にすら[聞こえた]…… [文章欠落] …は[次の朝]モーリアウスが角で塔全体を揺らしている時に逃げた。あるものは大量虐殺のさなか興奮状態にあり、人間たちは全てのアイレイドを殺そうと待ちかまえていたが、逃げ出した王たちや魔族たちを救おうとするものは全てペリナルに殺された後だった…… 王たちが彼らのやったことを証明するために残しておいたペリナルの頭部はモーリアウスが見つけた。彼らは会話を交わし、ペリナルは後悔を口にした…… しかし、反乱軍の者たちはすでに引き返しており、これを聞く者は誰もいなかった…… そして、不死身の彼らは[その後もさらに]話しこんだが、パラヴァントでさえもそれを聞こうとはしなかっただろう。 歴史・伝記 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/117.html
魔法戦の技術 ズーリン・アルクタス 著 諸名士による注釈付き 第3章:戦力の配備 アルクタス先生いわく: その一、攻撃を開始すべき時とは、敵が攻撃に対し脆弱となったその時なり。 レロス・チェイル注:敵の魔術師の意図を知ることが肝要である。相手の意図が判れば、その弱点も判る。 セッド・マール注:アルクタス先生は五橋の戦いに先んじて、タイバー・セプティムに対し、敵が勝利するまでは予備戦力を投入しないようにと助言された。タイバー・セプティムが「敵に勝たせてしまったのでは、予備戦力を投入してどうなると言うのだ?」と問うと、アルクタス先生は答えた。「勝利の瞬間にのみ、敵は脆弱になるからです」と。タイバー・セプティムはその後、自軍に倍する敵軍を敗走させることになる。 その二、敵の弱点こそが、その強みたりうる。自らの弱点こそが、決定打を繰り出す要になりうる。 マランドロ・ウル注:ノルドとダークエルフとの戦争にて、ノルドの呪術師たちは毎度、風を操って嵐を呼び寄せ、ダークエルフの戦士たちを混乱させ、その士気を奪っていた。ある日、賢明なダークエルフの妖術師が氷魔を召喚し、ダークエルフ軍の後方に位置する岩場に身を潜めておくように命じた。ノルドたちがいつも通り嵐を呼び寄せるとダークエルフの戦士たちは士気が揺らぎ始めたが、嵐の到来に合わせて氷魔が姿を現した。氷魔がノルドたちの召喚したものだと思い込んだダークエルフたちは怯え、嵐よりも氷を恐れて結果的に敵軍へと突撃を始めた。ダークエルフがいつも通り逃げ出すだろうと踏んでいたノルド側は不意を突かれ、嵐の中から襲いかかってきたダークエルフ軍にその日の勝利を奪われたのであった。 その三、戦役の計画を立てる場合、魔戦力と通常戦力の両方を考慮すべし。賢明なる魔闘士とは、両者の均衡を確保するものなり。片手で持ち上げる重りは、両手で持ち上げる二つの重りよりも重し。 その四、魔戦力と通常戦力の均衡がとれていれば、蝶番に油が差してある扉のように、軍の行動は極めて円滑なものとなる。両者の均衡が崩れている場合、軍は三本足の犬のように、いずれかの足が塵の中を引きずられる状態で動くことになる。 その五、かように軍が攻撃に転じる時、それは晴天を割く雷鳴の如し。最高の勝利とは敵には予期されざるも、事後に顧みれば明白なるもののことなり。 その六、賢明なる魔闘士とは、開戦前に敵の敗北を確実たらしめる者なり。戦場の運気とは時に、最強の妖術をも退けるものなり。綿密な計画でさえ、時に勇気により打ち砕かれることあり。故に接戦は避け、事前に勝利を確実なものとすべし。敵が開戦前にその敗北を悟った時、戦いを避けられることすらあり。 その七、戦いでの勝利とは、最も下級な勝利なり。戦い無き勝利こそ、才覚の極致なり。 その八、力の温存も勝利の鍵の一つなり。戦いに勝利せんがために力を発揮するは才覚ならずして、魔法戦の最下級の形たる戦術なり。 スリデン・ディル=サルクン注:アルクタス先生のおっしゃる「戦術」には、ありふれた戦場魔術の全てが含まれる。魔法戦の理解において、それらは初歩にあたる。敵を火炎で焼き尽くす程度のことは、そこらの魔導兵でも為しうる。賢明なる魔闘士にとって、敵を滅することは最後の手段なのである。 その九、戦いは木に生えし葉に過ぎず。葉が落ちても木は死なず。だが枝を落とせば木は弱まり、幹を圧倒せしめれば木の命運は尽きる。 その十、戦力の配備を入念に計画せし者、勝利は容易と見なされ、勇名を馳せることなし。戦力の配備が不適切な者、勝利は辛勝と見なされ、その名を広く轟かせる。 マランドロ・スル 注:魔法戦の大家と見なされている者たちこそ、最も腕の劣る者たちなのである。真の達人は大衆に知られてなどいない。 兵法・戦術 茶4
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/184.html
火中に舞う 第3章 ウォーヒン・ジャース 著 マザー・パスコストは彼女の酒場である薄暗い穴へと消え、すぐに見覚えのある、リオデス・ジュラスの走り書きがなされている紙くずを持って現れた。デクマス・スコッティはそれを、木の街を覆う大きな枝の数々の間から差し込んでいる、木漏れ日にかざして読んだ。 ── スクッティへ ボリンウッドのファリネンスティに付いたか! おめでたう! ここに来るまでにいろいろ大変だったろー。残念だけど、思ってるとおり、もー俺はここに以内。川をくだるとアシエって町があって、おれ居る。舟みっけて、こい!さいこーだぜ!けいあく書、一杯もってきたろうな、こいつらたちたくさんタテモノひつよだぜ。こいつらたち、戦闘にちかかったんだけどよ、ちかすぎてカネがねーわけじゃねぜ、ハハッ。出切るだけはやく恋。 ジュラスより ── なるほど、スコッティは考えた。ジュラスはファリネスティを離れ、アシエと言う場所へ移動していた。彼の下手な筆跡と言葉を失うような文法を考慮すると、その場所はアシー、アフィー、オスリー、イムスリー、ウルサ、クラカマカ、このどれにでも同等になり得るのである。常識的に考えたら、この冒険をやめて帝都へ戻る手段を探したほうが良いのはスコッティにも分かっていた。彼は興奮する人生にその身を捧げる傭兵ではなく、成功を収めた民間建設会社の先任書記なのである、または、先任書記で「あった」のである。この数週間、彼はキャセイ・ラットに身ぐるみをはがされ、へらへら笑うボズマーの一味にジャングルで死の行進をさせられ、餓死寸前になり、発酵したブタの乳でこう惚状態にされ、巨大なダニに食い殺される寸前になり、射手に襲われた。彼は不潔で、疲れ果て、手持ちはたったの10ゴールド。更に、彼をその提案によってこの苦難の連続へと導いた張本人はここに居もしない。完全にこの計画を放棄するのは、賢明で礼儀にかなったことである。 しかし、小さいが、はっきりとした声が頭の中でささやく。 「あなたは選ばれたのだ。最後を見届ける以外に選択肢はない」 スコッティは丈夫そうな老婆のほうを向いた。マザー・パスコストは彼のことを、もの珍しそうに見ていた。「最近、エルスウェーアと衝突寸前になった村をご存じないかを考えていたのですが。アシ…エ、そのような名前なのですが?」 「アセイのことじゃな」にやけながら彼女は言った。「次男坊、ヴィグリルがそこで牧場を経営していてな。川沿いできれいなところじゃ。そこにあんたの友達は行ったのかね?」 「はい」と、スコッティは言った。「最短でそこへ行く方法を知っていますか?」 短い会話の後、さらに素早くファリネスティの根の部分まで行き、そして川岸まで走った。スコッティは巨大で、髪の色が薄く、ふやけたような顔を持ったボズマーと移送の交渉をしていた。彼は自分をバリフィックス船長と呼んでいたが、あまり世間を知らないスコッティでさえ、彼が何であるかは分かった。金さえ渡せば雇えるであろう、引退した海賊で、疑う余地のない密輸者、あるいはもっと酷いこともするのであろう。彼の船は明らかに昔盗まれたもので、壊れかかった帝都式1本マストの帆船である。 「50ゴールドで、2日でアセイに連れて行ってやるぜ」のびのびと、轟くような声でバリフィックス船長は言った。 「10、いや、ごめんなさい、9枚ならあります」と、スコッティは答えてから説明の必要性を感じ、「10枚あったのですが、ここまで連れてきてもらうのに、広場のフェリーマンに1枚あげてしまいました」と、付け足した。 「じゃあ9枚でもいいぞ」と、船長は合意した。「本当のところ、あんたが金を払おうが払うまいが、俺はアセイへ行くつもりだったんだ。まあ、船に乗ってくつろいでくれ、あと数分したら出発だ」 デクマス・スコッティは木箱が高く積み上げられ、船倉から溢れ出た袋が甲板へとせり出すほど貨物を積まれたせいで深く水に沈みこんでいる船に乗り込んだ。それらの袋は、それぞれまったく害のなさそうな品物の名前が刻印されていた。くず銅、豚脂、インク、ハイ・ロックの食事(「牛用」と書かれていた)、タール、魚のゼリー…… スコッティはどのような非道徳的な交易品が船中にあるかを想像し、それが絵となって頭の中を巡りめぐった。 残りの荷物を船中に積み終えるまでにバリフィックス船長が言った数分以上かかったが、1時間後には錨は上がり、アセイに向かう流れに乗っていた。草色をした水面はわずかに波立ち、そよ風に頬を撫でられていた。岸には草木が生い茂り、様々な動物が互いに歌いうなり合うさまを隠していた。周りの穏やかな環境によって心を静められたスコッティは、眠りへと落ちていった。 夜起きた彼は、清潔な着替えと食べ物をバリフィックス船長から受け取った。 「聞いてもいいかね? なぜアセイへ行くのだ?」と、ボズマーは言った。 「あそこで、昔の同僚と合流するのです。帝都でアトリウス建設会社の職員だった私に、契約の交渉をするためにここへ来るよう彼が私に依頼したのです」スコッティは、2人で夕飯として分け合っていた干しソーセージを口にした。「最近のカジートとの戦争で破損した橋や道路や建物などの修理と改装をするつもりです」 「この2年間は辛かった」船長はうなずいた。「でも、俺やあんたやあんたの友達にはいいのかも知れんが。交易路は遮断されているぜ。聞いたか? 今度はサマーセット島と戦争になるかも知れないらしいぜ」 スコッティは首を横に振った。 「俺は、沿岸でスクゥーマの密輸をたくさんやってきた、革命家の部類のヤツらでさえ助けてやってきたぜ。でもな、戦争が俺を堅気の貿易商、商売人にしちまった。戦争で出る最初の犠牲者はいつも堕落した人間だ」 スコッティはお気の毒にと言い、2人は沈黙し、穏やかな水面に映る天空の星や月を見ていた。次の日、スコッティが起きてみると、泥酔して動けず、帆に絡まりながら、ろれつが回っていない舌で歌っている船長を目にした。スコッティが起きたのを見ると彼は、ジャッガの大瓶を差し出した。 「ウエスタンクロスのお祭り騒ぎで懲りてるぜ」 船長は笑い、そして突然泣き出し、「堅気になんかなりたくねえ。昔知ってた他の海賊たちは、今でも犯し、盗み、密輸して、あんたみたいな善良なヤツらを奴隷として売りさばいてるんだ。本当に、初めて合法の荷物を運んだとき、俺の人生がこうなるなんて思ってもいなかったぜ。戻れるのは分かってるさ、でもな、いろいろと見てきた後の俺じゃあ無理だ。俺は破滅だ」 励ましの言葉をささやきながら、スコッティは涙を流す海の男が帆から出るのを手伝った。そして、こう付け足した、「話題を変えてごめんなさい、でも、今どこですか?」 「ああ」バリフィックス船長は惨めにうめいた。「予定より早く到着できた。アセイはそこを曲がったらすぐだ」 「では、アセイは火事のようです」と、スコッティは指を差しながら言った。 タールのように黒い、巨大な煙の柱が木の上へと昇っていた。川が曲がっているところを抜けると、炎が見え、そして黒く焼かれ骨組みだけになった村が見えた。火に包まれ、死にゆく村人たちは岩から川へと飛び込んだ。嘆きの不協和音が耳に届き、私の周囲にはたいまつを持ち、歩き回るカジート兵の姿が見えた。 「ああ、神よ!」ろれつの回らない船長が言った。「また戦争だ!」 「何てことだ」と、スコッティは泣きそうになった。 帆船は炎に包まれた街とは反対側の岸へと流された。スコッティは岸と、その安全性に注目した。恐怖から離れた穏やかな木陰。そのとき、2本の木の葉が揺れ、弓で武装した柔軟なカジートが十数名、地上へと降りてきた。 「見られています」と、スコッティはささやいた。「弓を持っています!」 「弓を持っているって? あたりまえだろう」バリフィックス船長はうなった。「あれは俺たちボズマーが発明したかも知れんが、秘密にしておこうとは考えなかった。政治家め」 「今度は矢に火をつけています!」 「そうだな、たまにあることだ」 「船長、撃っています! 火のついた矢で撃ってきています!」 「ああ、そうだな」船長はうなずいた。「ここで肝心なのは、矢が当たらないことだ」 だが、すぐに命中し始めた。そして最悪にも、2度目の一斉射撃で矢が積み荷のピッチに命中し、とてつもなく大きな青い炎が上がった。船と積荷が粉々になる直前に、スコッティはバリフィックス船長をつかんで船から飛び降りていた。冷たい水の衝撃がボズマーを一時的なしらふにした。彼は既に川の曲がりへと全速力で泳いでいたスコッティを呼んだ。 「デクマス先生よ、どこへ向かって泳ぐつもりだい?」 「ファリネスティへ戻ります!」と、スコッティは叫んだ。 「何日もかかっちまう、それに着く頃には皆アセイへの攻撃のことを知ってるぜ! 見慣れないヤツなんか入れてくれないぞ! ここから一番近い下流の村はグレノスだ、そこなら俺たちを保護してくれるかもしれん!」 スコッティは船長のところまで戻り、燃え盛る村の形跡を後に、並んで川の中央を泳ぎ始めた。泳ぎを覚えたことを、彼はマーラに感謝した。帝都地方はそのほとんどが陸地に囲まれていたため、シロディールの多くの子供たちは泳ぎを覚えなかった。もしミル・コラップやアルテモンで育てられていたなら絶望的であったかもしれないが、帝都自体は水に囲まれていたため、男の子も女の子も皆、船がなくても川を渡れた。冒険者ではなく、書記へと育った人たちでもそうである。 バリフィックス船長のしらふの状態は、水の温度に慣れるにつれて薄れていった。冬であっても、ザイロー川は比較的暖かく、それなりに快適である。ボズマーの泳ぎは変則的で、スコッティに寄ってきたり、離れたり、前に出たり、遅れたりしていた。 スコッティが右を見ると、炎は木々が薪であるかのように燃え移っていた。なんとか追いつかれないようにはしているが、後ろからは猛火が流れてきている。左の岸は、アシの葉が揺れ、何が揺らしているのかを見るまでは、問題がないように見えた。今までに見たことがないほど巨大なネコが群れをなしているのである。彼の最悪の悪夢にも匹敵するようなアゴと歯、赤褐色の毛と緑の目を持つ猛獣であった。その獣たちは泳いでいる2人を見つめながら、速度を合わせて歩いている。 「バリフィックス船長、あの岸へもこっちの岸へも行けません、半熟に煮えるか食べられてしまいます」スコッティがささやいた。「腕の動きとバタ足を安定させてください。普段と同じように息を。疲れてきたら言ってください、しばらく背で浮きましょう」 酔っ払いに理性的な助言をしたことがある人ならば、この絶望感を理解できるであろう。ボズマーが海賊時代の小唄をうめいている最中、スコッティは遅くなったり、早くなったり、左右に流される船長の速度にあわせた。同行者を見張っていないときは、岸のネコに注意した。しばらく続いた直線を抜けた後、右方向へと曲がった。違う村が火に焼かれていた。それは、疑いようもなくグレノスであった。スコッティはその赤々と燃え上がる業火を見つめ、その破壊のさまに恐怖した。そして、船長が小唄をやめたのを聞き逃していた。 彼が振り向いたとき、バリフィックス船長はいなかった。 スコッティは濁った川の深みへと何度も潜ってみた。何もできることはなかった。最後の捜索から浮上したとき、巨大なネコは去っていた、おそらく彼もまた溺れたと思ったのであろう。彼は1人で下流へと泳ぎ続けた。川の支流が最後の防壁の役目を果たしたと見え、延焼はそこで止まっていた。しかし、もはや街はない。数時間後、彼は岸に上がることの賢明さを考え始めた。どちらの岸へ、それが難問であった。 決断する必要はなかった。彼の少し先に、大きな焚き火をたいた岩だらけの島が見えた。ボズマーの一行の邪魔をすることになるのか、はたまた、カジートの一行か、彼には分からなかったが、彼はもう泳げなかった。張りつめて痛む筋肉で、彼は自分を岩の上に引き上げた。 教えられる前に、彼らがボズマーの難民であることが分かった。逆側の岸で、彼をつけ狙っていた巨大ネコと同じ種類の生物の死骸が火にかかっていた。 「センチー・タイガー」と、若い戦士の1人が言った。「ただの動物ではないです―― キャセイ・ラットやオームスや他のカジートと同等の賢さがあります。こいつは溺れてしまっていたので残念です。生きていれば、喜んで殺してやったのに。肉は気に入ると思います。こいつらは砂糖をたくさん食べるせいで、肉は甘いんですよ」 人間ほど知的な生物を食べることができるかどうかスコッティには分からなかったが、ここ数日間やってきたように彼はその行動に自分自身が驚いた。肉は味わい深く、みずみずしく、豚の砂糖漬けのように甘かったが、味付けは何もされていなかった。食べながら彼は、集まった人々を見渡した。悲しげな集団、中には失った家族を想い、いまだに泣いているものもいる。彼らはグレノスとアセイの両方の生き残りであり、全員が戦争のことを話していた。どうして―― はっきりとシロディール出身のスコッティに向けられた言葉である ――どうして皇帝は彼の領土の安全を守らないの? 「シロディール人と合流するはずだったのですが……」彼は、アセイ出身であると踏んでいたボズマーの娘に言った。「彼の名前はリオデス・ジュラス。彼に何が起きたか知りませんか?」 「あなたの友達は知りませんが、街に火がついたときにもアセイにはシロディールがたくさんいました」と、娘は言った。「そのうちの何名かは急いで逃げたと思います。彼らは内陸のジャングルの中にあるヴィンディジへ向かっていました。私や他の大勢も明日そこへ行きます。もし望むのであれば、一緒にどうぞ」 デクマス・スコッティは厳かにうなずいた。岩でゴツゴツしている川の島、彼はできるだけ自分の気持ちを落ち着けようとした。そして努力の末、どうにか彼は眠りに落ちた。しかし、その眠りはあまり深くなかった。 物語(歴史小説) 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/146.html
そそり立つ石の謎 著者匿名 シヴァリング・アイルズを訪れる者は必ず、誰かを責める指先のごとく頭上にそびえる、恐ろしげな形をした水晶のような石にすぐさま遭遇するだろう。そそり立つ石、あるいは方尖塔など、様々な名称で知られるこれらの石は、シヴァリング・アイルズを旅行するなら、どれほど懸命に避けようとしても決して避けられない物だ。 あの石の起源と目的については、諸説ある。(目的? 石に目的などあり得るのだろうか? 感情を有する存在、それとも無生物なのだろうか? 果たして人に耳を傾けて、見つめて、ささやきかけているのだろうか?)。ただの興味深い地形の一つに過ぎないと主張する者もいる。いやいや、そうではない。あの石は、砕くことも、割ることも、焦がすことさえできないのだ。実際に試したのだから間違いない。何を持ってしてもあの石を傷つけることはできない。(とはいえ、おそらく痛手は感じているだろう。しばらくの間、怒っているように見えた。歌を歌ってあげたところ、穏やかになったようだった。理由は分からない。)私がそうしたように、もし仮に掘り起こそうとしてみても、永遠に掘り下げることになるだけだ。(私は何ヶ月も掘り続けた。どれほど深くなっても石はまだそこにあって、地中の秘密めいた暗闇の中で輝きを放っていた。深く埋められている物までも含めて、彼らは秘密を知っている。) 石を理解しようと、私は長い年月をかけて取り組んできた。(避けることは無理だ。前にも述べたように、至るところにあるからだ。それなら、私がそうしたように、理解を試みるべきだろう。あの鼻歌は一体何だ? ささやきの意味は?)。石のすべてを知っているとは言えないにしても、たくさんのことを学んだのは確かだし、そのいくつかをここで披露しようと思う。(しかし、連中が何を望んでいるのかは分からない。今のところは。何を望んでいるものが分かれば、おそらくそれほど恐れる必要はなくなるだろう。連中は秘密をささやいて教えてくれたが、その内容は誰にも言わないことを私は約束した。彼らはたくさんの秘密を知っている。そしていつも見つめている。決して眠らずに。月明かりのない夜にさえ。) あれは古い物だ。おそらく、世界そのものよりも古い。いくつもの文明の盛衰を見続けてきた。そして、我々を憎んでいる。彼らは、主の帰還を待っているのだ。(それが誰で、いつ戻ってくるのかは教えてくれなかった。もし私を憎んでいるなら、どうして秘密を教えてくれたのだろう? 私の秘密をすでに知っているからだろうか?) あなたも私を信じないのかもしれない。ほとんどの連中はそうなのだ。しかしその中に、私と同じように長い時間をかけてあの石について学ぼうとしてみた者はいないだろう。私は彼らの秘密のささやきを聞き取り、彼らの言葉を学びながら、日々を過ごしてきたのだ。(そう、彼らは確かに話す。ほとんどの場合はお互い同士で。しかし今では、私にも話しかける。)最初はただの鼻歌程度で、それも、石によりかかって慎重に耳を澄ませば聞こえるに過ぎない。何時間、あるいは何日間もかかるかもしれないが、あなたにも必ず聞こえるはずだ。そして一度でもそそり立つ石の声を耳にしてしまったなら、もうそれを黙らせることはできなくなってしまうのだ。 SI 自然・天文・地学 茶2
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/228.html
商売の才覚 アババエル・ティムサー・ダディサン 著 とても多くの人がただ単純に、必要なものを表示されている価格で購入している。それは実に悲しい事態である。商売はすべての人に対して広く開かれているものであり、招待状も必要ない。それが商売というものであり、交渉のゲームでもある。しかしそれは真剣に遊ぶゲームでもある。さらに付け加えると、「丁寧に」だ。エルスウェーアでは、店主が物を買ってくれそうな客にお茶や砂糖菓子を提供したり、商売を始める前にきちんと会話をするのは普通なことである。この著しく文明化された伝統は、実用的な目的を持ち、買い物客は販売商品をじっくりと観察することができる。買い物客側にそうする義務があるわけではないが、受け入れないのは無作法ともとれる。 この特殊な商慣習が文化として根付いているかどうかに関係なく、店主と買い物客がお互いに笑顔と暖かい言葉をもって挨拶をすることは賢明である。ちょうど、戦いを始める前のグラディエーターがする敬礼のように。 交渉はタムリエル全土にわたって行なわれていることであるが、もし買い手の提示する額があまりにもばかげたものであれば、それは店主を侮辱することになり、ゲームは終わってしまう。もし商品が10ゴールドで売り出されていたら、6ゴールドの値を付けてみて、どのあたりで折り合えるか様子を見る。 非常に興味のあるふりをしてはいけないし、商品の質をバカにしてもいけない。たとえそれ相応のものであってもだ。細工品の質の高さに感嘆したとしても、非常に残念そうにしながら、ただその額では買えないと言うほうがいい。店主はあなたの趣味を誉め、ニッコリと笑いながらも、あなたのお世辞に抗おうとする。 ほとんどのゲームの勝敗は、店主たちのタイプを判定できるかにかかっている。「田舎の商人は無知だから簡単にだませる」、「強欲な都市の商売人の売る商品は偽者」などと型にはめて見てはいけない。また、キャラバンは買い物にも取引にも向いていると言っておく。 何を、どんな人物から買おうとしているかを知る才能は、何年も実践を重ねた結果もたらされるものである。店に入る前にその地域や商人の特質を知るべきである。その地域特有の先入観も知っておくべきだ。たとえば、私の出身地であるモロウウィンドではアルゴニアンは確実に疑念のまなざしで見られている。もし、店内を回るあなたの周りに店主がくっついてきて、自分が万引きするのではないかと見られているようであっても驚かず、侮辱されたと思わないことだ。同じく、ノルドやブレトン、そしてシロディールも、サムーセットでは時折商人に冷たくあしらわれることがある。もちろん、どこの場所のどんな店主がどれだけ広い心の持ち主であっても、カジートやボズマーが店に入る時は警戒心を示すであろう。たとえ店主自身がカジートやボズマーであってもだ。 もし、本当に気に入った物や必要な物が見つかれば、その場で、自分の買える最高の値段で買うべきだ。他の大きな街ではもっと手ごろな価格で手に入れられるかもしれないと思い、私はまれにみる興味深い品々を何度逃してきただろうか。自分が間違っていたと気づく頃には時すでに遅しで、1週間後、店に戻って見てみると欲しかったその商品は消えているのだ。適正価格で買ったものが、もう一度見かけた時にはとても買えないようなさらに高い価格で売られていることがある。時には衝動買いが最高の作戦となる。 ゲームの動きを察知できるようになれば、勝利は誰もが得られるものになる。 産業・商業 茶3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/81.html
戦士ギルドの歴史 第1版 第二紀の283年、支配者ヴェルシデュ・シャイエは、帝都分裂の危機に直面していた。タムリエル全土の従属する王国の数々は反乱の極みに達し、公然と彼の統治に挑んできた。彼らは税の支払いを拒否し、全土で帝都軍に対して突撃隊を繰り出してきた。ドーンスターの要塞が破壊されたとき、彼は、ドーンスターの南に位置する街で集まったことから、後にバードモント評議と呼ばれることになる街に、帝都評議会を招集した。そこでポテンテイトは、包括的かつ全土共通の戒厳令を敷いた。タムリエルの王子たちは軍を解散するなか、彼の憤怒を目の当たりにすることとなる。 次の35年間はタムリエルの激しい歴史の中でも、おそらく最も血塗られた期間であった。 王族軍を最後の1兵まで鎮圧するために、ヴェルシデュ・シャイエは多くの精鋭部隊を犠牲にしたと同様に、帝都公庫のゴールドをほぼ使い切った。しかし、かれは考えられないことを成し遂げた。歴史上初めて、全土に1つの軍隊しか存在しなくなった、それは彼の軍であった。 直後に表面化した問題は、大勝利と同じくらい信じ難いことだった。破られた各王国は、防衛にゴールドを使い果たしてしまい、ポテンテイトは戦争によって全土を貧困に陥れてしまったのだ。農民も商人も皆、生計をたてる手段を絶たれてしまった。以前は、タムリエルの王子たちは税を支払わなかったが、今は支払えないのだ。 戦争で得をしたのは、地元の衛兵や民兵が居ないのを良いことに、崩壊した無秩序な土地を食い荒らした犯罪者たちだけであった。それはアカヴィリが最後の従属国軍を打ち負かす遥か前から危ぐしていたことであるが、解決策を見出せづにいた。国は未だかつて見たことがない混乱の渦の中にあるのだが、従属国にまた軍を持たせる訳にはいかなかった。彼の軍が犯罪の増加と戦ったが、中央軍では地元の地下組織に敵うはずがなかった。 320年が明けると、ヴェルシデュ・シャイエの血縁者である(鋼鉄の)ディニエラス・ヴェスが同伴者を引き連れてポテンテイトの前に現れた。常設軍の代わりに貴族階級に雇われる、商業としての「雇われ戦士」を提言したのは彼であった。雇用は一時的で、料金の一部はポテンテイトの政府に流入する。したがって、ウェルシデュ・シャイエの2つの大きな傷に応急処置をすることになる。 その頃は、ツァエシの言葉で「兵士」を表す「スィフィム」と呼ばれていたが、後に「戦士ギルド」として知られるようになる組織が誕生した。 (鋼鉄の)ディニエラス・ヴェスは当初、この一団は完全にアカヴィルで構成するべきと考えていた。彼のこの考えは、どの歴史学者も異議を唱えないが、彼の動機に関してはしばしば論議される。従来の簡単な説明としては、彼は同胞のことをよく理解していたし、信頼もしていたし、アカヴィリの伝統である、利益のための戦闘が役に立つと考えたからである。もう一方が根拠とともに信じているのは、彼はポテンテイトとともにこの一団を使って、500年以上も前に始まったタムリエルの征服を完結させようとしたことだった。アカヴィルがタムリエルを第一紀の2703に攻撃した際、彼らはレマン王朝によって押し返されていた。今はポテンテイトが玉座に座り、ディニエラス・ヴェスの策謀があり、地元の軍もアカヴィリになる。戦闘にて成しえなかったことを、我慢することによって首尾よく成しえることができたであろう、典型的な、時には不自由しなかった不死の蛇、アカヴィルのツァエシ戦略と多くの学者は提言する。 一方で、重要な点は、実用的ではなかったことである。スィフィムはシロディール周辺の王国に定着したが、地元の戦士も必要であることが明らかとなった。問題の一部は、単純に、仕事の量に対してアカヴィリの数が足らなかったのである。もう一方の問題は、蛇男たちは割り当てられた地域の地理や政治が理解できなかったのである スィフィムにアカヴィリ以外が必要であったのは明白であり、その年の中頃にはノルドの魔闘士、ならず者、騎士の3名が入団した。 名前は消失されてしまったがこの騎士は、非常に腕の良い鍛冶であり、おそらくディニエラス・ヴェス以外の誰よりも、組織の強化に貢献した。良く言われていることであるが、アカヴィリ、特にツァエシは鎧よりも武器に精通していた。例え彼らが着用できなくても騎士は他のスィフィムたちにパルドンやグリーブの結合部分の数を教えたり、アケトンとアームカシェン、ゴーゲットとグリードシュリム、パレットとパスガード、タバルドとタセットの違いなどを説明することによって、敵の鎧の弱点を説明できた。 この知識をもとに、彼らの人数では考えられないほどの飛躍的な速度で略奪者たちを破っていった。もしアカヴィルがノルドの鍛冶を第一紀に雇っていたなら、侵略は成功したであろうと、歴史家の間では冗談が交わされていた。 最初にスィフィムに入団した3名の部外者の成功によって、地元の人口に扉が開かれた。その年が終わる前にディニエラス・ヴェスは彼の商売を帝都全土に広げた。絶望的な貧困者、戦闘や冒険好き、近所の治安を守るためなど様々な理由から、若い男女が大量に彼の一団に押し寄せた。彼らは訓練を受け、衛兵や兵士としての役割を担い、すぐに上流階級の問題解決の任務に就いた。 犯罪との戦いや、その土地のモンスターとの戦いにおけるスフィムの当初の成功は支配者ヴェルシデュ・シャイエを感動させ、帝都の認可に興味を持っている他の組織の代表者たちを歓待した。もっと早くに結成されていたが、魔術師ギルドは疑いの目で政府から見られていた。そして第二紀の321年、ポテンテイトはギルド法令を承認し、ウィザードギルドに正式認可を下し、次のギルドも認可した。よろず屋、靴屋、売春婦、写本筆者、建築家、醸造者、ぶどう酒醸造者、織工、ネズミ捕り、毛皮職人、料理人、占星家、治癒師、仕立屋、歌手、弁護士、スフィム。特許状のなかでは、もはやスフィムと呼ばれておらず、人々に呼ばれるようになった戦士ギルドとなった。すべてのギルド、そして以後の第二紀、第三紀中に認可されたギルドは、それがタムリエルの人々にとってどれだけ価値があるかを理解していたシロディール帝都の保護と奨励を受けることとなる。すべてのギルドはその影響力を全土に広めるらめには対価を払わねばならない。帝都は彼らの存在で強化され、帝都の金庫はまた満ちた。 ヴェルシデュ・シャイエが他界してまもなく、ギルド法令からたったの3年後、彼の後継者であるサヴィリエン・チョラックは地方軍の再結成を許した。もはや戦士ギルドは地元の上流階級の主力ではなくなったが、彼らの価値は確立されていた。もちろん富を追い求めた強力な個人は過去にも居たが、多くの歴史家は、ディニエラス・ヴェスを現在の冒険者現象、それは富と名声の探求に人生を捧げる男女の元祖と位置づけている。 よって、我々は戦士ギルドにたいしてとても感謝している── 隊員や強力な戦力を法の範囲内の料金で提供する中立の方針によって助けられた人々に限らず。彼らが居なかったら、ギルドは存在しなかったであろうし、独立した冒険者の手本さえもなかったと言っても過言ではない。 戦士ギルド関連 歴史・伝記 茶1